微分干渉は光の干渉を利用して試料表面の微小な凹凸形状を高いコントラストで可視化する観察手法です。

微分干渉光学系

反射式の微分干渉光学系の光路図を模式的に下の図に示します。通常の落射式光学系にポラライザ、アナライザおよびノマルスキープリズムを挿入した光学系です。光源からの単色光線はポラライザで直線偏光に変換され、ノマルスキープリズムを通ります。この時、光線は互いに直交する2つの直線偏光(正常光:o、異常光:e)に変換され、同時に光路間に微小な水平距離(シャー)が発生します。それらはサンプル上の2点へ入射し、反射した光は再びノマルスキープリズムを通過して同じ光路を進みます。最後にアナライザを透過した正常光と異常光の偏光成分同士が干渉し、検出器に到達します。

微小段差に輝度コントラストがつく仕組み

正常光と異常光のそれぞれが入射した点の間に高低差がある場合、2つの光は位相がずれ、合流時に干渉を起こし、干渉強度が変わります。結果的に、下の図の段差による位相勾配のように視野内に勾配の分布がある部分には明暗の輝度コントラストが発生するため、凹凸が強調されます。微分干渉による高さ方向の輝度コントラストは、通常の光学系では認識できないような微小段差を可視化できます。

微分干渉光路図

ノマルスキープリズムと背景位相

微分干渉による輝度コントラストはサンプルの勾配による位相差だけでなく、ノマルスキープリズムによる背景位相を加えた合計の位相差によっても変化します。ノマルスキープリズムを調整することで、サンプルを観察しやすい背景位相を設定することが可能です。

例として、下の図のように背景位相を90度に設定している場合、輝度コントラストはΔ+に対して明るく、Δ-に対して暗く発生するため、Δ+とΔ-を区別することが可能です。背景位相が0度の場合、Δ+とΔ-はどちらも明るい輝度コントラストが生じるため、凹凸を区別できませんが、輝度コントラスト比が高くなります。凹凸判定を行う場合は90度、より微小な段差を可視化する場合は0度、といった形でノマルスキープリズムの最適化が可能です。
白色光を使った場合は、波長により位相差が異なるので干渉色がカラー観察できます。背景位相を変えることで背景色を選ぶことができます。

位相差に対する輝度コントラスト
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