コンフォーカル顕微鏡の原理
コンフォーカル光学系の基本
コンフォーカル光学系(=共焦点光学系)とは、“点光源から出力した光がレンズを通過してサンプル表面に焦点を結び、反射光が再度レンズを通過して検出器側で焦点を結んだ光がピンホールを通って受光される光学系”です。サンプル表面と検出器側の2か所に焦点を持つことから、共焦点(コンフォーカル光学系)と呼ばれます。サンプル表面に焦点が合っている場合、反射光はピンホールを通過して検出器に届きますが、焦点が合っていない場合、反射光は検出器側で収束しないため大部分がピンホールに遮られ、検出器に届きません。つまり、コンフォーカル光学系は合焦点面からの反射光だけを検出する光学系といえます。コンフォーカル光学系を採用した顕微鏡をコンフォーカル顕微鏡と呼んでいます。
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コンフォーカル光学系の特性
① 解像力とコントラストの向上
コンフォーカル光学系はノンコンフォーカル光学系(通常の顕微鏡光学系)と比較して水平方向の解像力とコントラストが向上します。焦点面以外からの不要な散乱光を除去できるため、迷光の侵入がなく、鮮明で解像力に優れ、高コントラストの画像が得られます。
一般にコンフォーカル光学系は、通常の光学系と比較して水平方向の解像力が30%程度向上するといわれています。
下の画像では、TFT(Thin Film Transistor)をそれぞれの光学系で撮影したものを比較しています。ノンコンフォーカル画像では画像全体の焦点は合っているものの解像度がやや低くなっているのに対し、コンフォーカル画像はにじみがなくTFTの微細パターンが鮮明に見えています。
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② Z方向に高い解像力を持つ
焦点位置の反射光のみを受光することによってZ方向に高い解像力を持ちます(IZカーブ)。これにより焦点深度のきわめて浅い断層画像を得ることができます(オプティカルセクショニング効果)。
下の図に示すように、IZカーブの特性はコンフォーカルとノンコンフォーカルで大きく異なります。IZカーブの形は入射光の波長と対物レンズのNAに依存します。波長が短く、NAが高くなるほどIZカーブの立ち上がりおよび立ち下がりは急峻になります。
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コンフォーカル顕微鏡の測定手法
コンフォーカル顕微鏡は、フォーカススキャンを行うことで、全焦点画像と高さデータを取得できます。
① フォーカススキャン
サンプルをZ方向に移動しながら連続的に画像を取り込むことで、位置の異なる複数の焦点深度の極めて浅い断層画像(オプティカルセクショニング画像)を取得しながら各画素で焦点が合った際のピーク輝度およびピーク位置情報を記録します。
下の画像は球状の物体をフォーカススキャンした際に得られるオプティカルセクショニング画像です。
② 全焦点画像
各画素のピーク輝度情報を1つの画像にまとめることで、視野内すべての位置に焦点が合った高解像度かつ焦点深度の深い画像が得られます。これを全焦点画像と呼びます。つまり、取得したオプティカルセクショニング画像をすべてつなぎ合わせたのと同じ意味になります。
③ 高さ画像
各画素のピーク位置情報から高さデータが得られます。高さデータを1つの画像にすることで、高さの分布画像が得られます。これを高さ像と呼びます。高さ画像を解析することで、各種の3次元測定が可能です。また、3次元画像を作成することが可能です。
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④ ピーク検出方法
IZカーブのピーク位置を正しく取得するにはフォーカススキャンの際のZステップ(ステージのZ移動幅)を適切に設定する必要があります。さらに分解能を向上させるために、IZカーブの補間などさまざまなピーク検出方法が提案されています。ピーク検出方法には最大値を取得する方法や、IZカーブを2次関数でフィッティングする方法などがあります。
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