新製品:電気化学反応可視化コンフォーカルシステム 「ECCS B310」を発表
2012年10月23日
リチウムイオン電池の充放電中の電気化学反応をIn-situで可視化/定量化
この度レーザーテックは、リチウムイオン電池のIn-situ観察・計測に特化した電気化学コンフォーカルシステム「ECCS(エックス) B310」を製品化し、10月より受注を開始いたします。
ECCS:Electro-Chemical reaction visualizing Confocal System
説明
電気化学顕微鏡システム「ECCS B310」は、当社のコア技術であるリアルカラーコンフォーカル光学系技術をベースに開発した製品で、専用設計のIn-situ観察用窓付きセルにより、電解液中におけるリチウムイオン電池の充放電中の電気化学反応進行分布をリアルタイムの動画で可視化できるシステムです。
リチウムイオン電池は、携帯電話やノートパソコン等の小型電源として幅広く普及しております。また近年では、電気自動車用電源、住宅用蓄電システムなどの中・大型用分野での需要も拡大し、新たな材料による体積当たりのエネルギー密度向上、充電時間の短縮、より高い安全性の確立等が一層強く求められております。
リチウムイオン電池の性能は、組み合わせが1000種以上に及ぶ正極活物質・負極活物質・電解液、また活物質に添加する導電助材の材料とその量など、非常に多くの要因に左右されますが、従来、その性能評価は、充放電カーブによる計測が一般的な方法で、密閉状態にある電池内部での電気化学反応の状態変化を可視化することは困難でした。
本製品では、充放電中のリチウムイオン電池の電極表面のみならず、断面における電気化学反応の進行状況まで、高精細のリアルタイム・カラー動画による観察を実現しました。 電極面内、及び深さ方向の反応分布の観察、活物質の膨張・収縮の定量化が可能となり、デンドライト(樹枝状結晶)発生のメカニズム等の解析にも有効なツールとなります。
各種研究開発、材料特性の改善や品質向上にご活用ください。
特長
- リチウムイオン電池のその場観察に最適なリアルカラーコンフォーカル光学系の採用で、ガラス面・電解液等の影響を受けない色分離の高い高精細カラー動画観察を実現
- 業界最速の画像取込速度によるリアルタイム観察
- デンドライドの高さ計測等の三次元計測が可能
- 最適な装置のカスタマイズ
用途
- リチウムイオン挿入時(インターカレーション)の可視化
- 活物質の膨張・収縮の定量化
- デンドライド発生のメカニズムの解析
<グラファイト負極表面の反応分布観察>
画像説明:グラファイト系の負極では、充電時いくつかのステージを経由し、最終的にすべての層間にリチウムイオンが挿入されたStage1に到達。この時、電極活物質の色は金色に変化する。充電前のグレーから青→赤→金と充放電中の色の変化の観察から電池特性を解析