新製品:塗工ムラスキャニングシステム「TSS20」を発表
2012年10月23日
リチウムイオン電池の電極シートの塗工工程管理、品質向上に最適な検査機
この度レーザーテックは、リチウムイオン電池の電極シートの塗工ムラやキズの高速可視化を実現した「TSS20」を製品化し、10月より受注を開始いたします。
説明
リチウムイオン電池(以下、LIB)は、携帯電話やノートパソコン等の小型電源として幅広く普及しております。また近年では、電気自動車用電源、住宅用蓄電システムなどの中・大型用分野での需要も拡大し、新たな材料による体積当たりのエネルギー密度向上、充電時間の短縮、より高い安全性の確立等が一層強く求められております。特に、車載用では安全性、耐久性、及び走行距離の延長などに対する要求基準の高まりとともに、LIBの電極シートの製造工程における塗工精度の向上が電池品質の安全性や性能向上の必須テーマとなっているにもかかわらず、従来の装置では電極シート全体の厚さを測ることしかできませんでした。
塗工ムラスキャニングシステム「TSS20」は、裏面、表面、それぞれの塗工の厚さ分布を測定できるよう開発された製品です。
新開発のセンサーにより、電極シートの裏面、表面それぞれについて、指定領域内全面の集電箔から活物質表面までの厚み分布を非接触でスキャンし、塗工ムラなどの問題個所の高速可視化を実現しました。量産工程における品質確認や製造工程の改善にご活用ください。
特長
- 新開発のインダクタンスセンサーにより、指定領域内全面での正極、負極それぞれの集電箔から活物質表面までの塗工の厚み分布をサブミクロン単位の高精度で可視化
<電極シート表面の厚み分布例>
左図)筋状のへこみ部分はダイコーター(塗工機)による塗工ムラを示す
- インダクタンスセンサーと一体化した静電容量センサーで、活物質層内のバインダー(結着材)、導電助材等の添加物の分散状態および電池性能に悪影響を及ぼす凝集箇所などを可視化
<静電容量分布例>
左図)同じサンプルによる静電容量分布。横線は塗工のキズ、黒い部分は塗工のはがれ、白い点は凝集を示す
- 1回の測定で塗工厚みムラと分散状態の分布の両方の測定が可能
- エアー浮上式測定ヘッドによる高速スキャンでA4シート1枚を約4分で測定(特許申請中)
- 最大測定エリア;20cmx25cm
用途
- スラリーの安定的な分散および粘度の均一性の管理
- ダイコ―タ―のチューニング(ギャップ、ポンプ圧)
- プレスロールの精度管理
その他
TSS20は、太陽電池の評価用単セルモジュール内のセル裏面のストレス(曲がり)や、裏面アルミ・銀ペースト焼結状況などの高速可視化機能も備えております。詳細はお問い合わせください。
お知らせ
本日当社は、新製品・電気化学コンフォーカルシステム「ECCS B310」発売の発表をしております。「ECCS B310」は、リチウムイオン電池(LIB)の動作状態における電解液中の充放電の電気化学反応をリアルタイムの動画で観察するシステムで、材料開発や電池構造分析が主な用途となります。一方、ここでご紹介の「TSS20」は、LIBの電極シートの製造段階における塗工ムラやキズを高速で可視化し、製造工程の改善を目的としたシステムです。用途に合わせてご活用ください。